沢マンギャラリーroom38 interview (対談) −前編−
一昨年(2009年11月)、ギャラリー立ち上げの際にOPENING取材を行った「沢田マンションギャラリーroom38」(以下 沢マンギャラリー) が運営2年目に入った。沢マンギャラリーは「自主ギャラリー」という形態をとっており、作家同士が集まって出資し運営するという県内では他に行われていない視点での活動だ。
現在沢マンギャラリーでは2年目の参加作家を募集中。
本紙では、今号(前編)と次号(後編)の2度に渡り、
沢マンギャラリーでの1年目の活動について、及び、今後の展望などを、対談形式でうかがって行きます。
― 「沢田マンションギャラリーroom38」の立ちあげの経緯はどんな事からだったのでしょうか。
● 岡本: 自分たちも自主ギャラリーというもの自体を最初はよく知らなかったけれど、
東京に行った時に小川てつオ(※1)さんの活動を知って作品は空間に合わせて作るべきだということや、自分でギャラリーをやることに憧れもあり、自主ギャラリーをやりたいなと考えていました。
● 杉本: その頃、岡本さんと東京の自主ギャラリーでグループ展をして影響を受けました。そのタイミングで沢田マンション内の部屋があいたこともあり、2.3時間でギャラリーをつくるという全体像が決まりました。
● 岡本: 自分が活動を始めた頃に高知でよく通っていたギャラリーなどの当時と今を比べてみても、「10年前の作家と今の作家の意識が違うな」「ギャラリーも作家も活気が無いな」という思いがありました。 景気が悪いとか色々あるのだと思うけれど。
― 東京でも、お金を使える層が購買層になっていないとか、結局同年代が同年代の作品を買うという話は聞きますね。
買った作品の作家の次の活動に期待して買う・投資をしてみるという感覚が定着してくれば、何かが変わってくるのではないかということですよね。
● 森: 工芸の方ではそういう運動がありました。中国の工芸作品は安いものを買いたいのならば買ってもいいが、日本の作家は良いものを作っていますよと提案したものでした。
現代根付専門のギャラリーでは、コレクター同士のつながりは元々あって、ギャラリーのお客さんを作家が取らないようにという最低限の決まりというか仁義も守られています。
東京のギャラリストの方と話した時は、「根付には二次市場が無いけれど現代アートは二次市場があるのが良いですね」と言うと「売るよりも死ぬまで持っている方が良い」と言われていました。
― 二次市場があるから作家の今後の作品に値がつく仕組みにもなるということですね。
●岡本: 売れるかどうかで作品を作ることを辞めてしまう人もいます。お金にならないので生活が成り立たなくなるからというのは大きい理由だと思います。
高校の部活動でも、美術部に人が集まらず漫画部やイラスト部など、より商業的な部活にとられてしまうということも起きているみたいです。
それでも作品を作ることを続ける前提の人は辞めないし、断続でも続けると思う。
− けれど、大学生などの場合は「今できるから今はやっている」という人も多いですね。
● 岡本: 始めてすぐに有名になれるわけではないけれど、経験を積まないで有名になれると安易に考えている人も多いです。
そんな中、場所を借りて発表してその場でお終いの貸しギャラリーよりも、作家同士のつながりでやって行った方が面白いことができるんじゃないかと、沢マンギャラリーではこれから色々と参加作家同士で交流しながらやっていくつもりで自主ギャラリーという形をとっています。
「色々な人とのコミュニケーション抜きにして作品を作る」という考え方ではダメだと思います。交流で表現が広がっていくということがその人自身の力になるのですが、作家の中には言い訳をして人の意見を聞かない人も多いのではないかと思います。自分を客観視できない間は、周りの話が聞けないのですが、それが経験を重ねるごとに周囲の意見を聞くようになるのではないかと思います。
― 沢マンギャラリーは2009年11月に始まりましたが、2010年の成果などはありますか。
スライドを使ったアーティストトークなども作家によっては行われていましたが。
● 岡本: 県内外から注目され、メディアにも多く取り上げてもらいました。
アーティストトークは有意義なのですが、毎回開催することはできませんでした。
しかし、何でも経験をしていくことで少しづつスキルがあがっていくと思います。
学生の参加作家の人たちには展覧会をやったことの無い人もいて、そういう人のサポートをしていくことも考えています。
自分たちの時はどうしただろうと思い起こすと、自前で色々やっていたように思いますが...。
● 杉本: やりたい人が居ればサポートとして動く用意はあるということです。
― そもそも[自主ギャラリー]というのが一般的にはまだあまり知られていない所があると思いますが、どういった仕組みなのか改めて説明するとどういうものでしょうか。
● 岡本: 自主ギャラリーは、基本的には作家自身によって運営されるギャラリーです。
作家自身が自ら運営に関わることで、作家活動の幅が広がります。
― 確かに日頃の生活でも、人に聞く前に自分で調べてやってみる事は必要でその方が身に付きますよね。
● 杉本: 沢マンギャラリーの利点として考えられるのは、ジャンルが決まっているわけではないので、ほかのジャンルの人が作品以外の部分でどう活動しているかを参考にして勉強になると思います。
― 参加した作家が運営にどこまで関わったほうが良いかとか、沢マン住人の作家メンバーに仕事が集中するということはないですか?
● 岡本: 最初は沢田マンション自体が変わっているとか、他のメンバーの輪があるように見えるとか、どこか怖いイメージがある人もいるかもしれませんが、いつまでもモジモジしていたら、作家として初めて出会うお客さんと対話することも無理だ、ということにもなってくると思います。
― 去年の問題点やその改善などは?
● 岡本: みんな忙しい人ばかりで、去年はすべてが準備不足だったという思いはあります。
それでも1年目で注目してもらえたというのは、沢田マンション自体の場所の力もあったし、タイミングもあったと思います。
東京の自主ギャラリーでも「落ち着くまでに7年かかった」と聞いたこともあり、地道に続けて行かないと、と考えています。
※1 小川てつオ(アーティスト)現在、公園でホームレスとして暮らす。テント前で、カフェ・エノアールを運営するアーティスト。ダムが造られるために共同体が危うくなった土地にテントを張ったプロジェクト、 「こんにちわテント」(1999)や、気になるところにテントをはって、そこで出会う人、事件から芝居をつくる試み。 自転車青春旅芝居。「劇団耳だれ?」(1999)など様々な活動で知られる。 2008いちむらみさことともに、カフェ・エノアールの展示をボーダレスアートミュージアムNOMA、広島現代美術館で行う。BLOG: ホームレス文化 http://yukuri.exblog.jp/
○ 聞き手=plastik/o
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>次号、後編(2011年 6+7月号)に続く
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