Art in Kochi追っかけ取材連載第3回(8-9月号) 室戸の街と「むろとの日」/『室戸美術館』

|

murotologo.jpg


室戸市の元気を創りたい 610club 
 
 地域の元気づくりのアイデアや「夢」を持ち寄り、共有して現実のものにしていこうという取り組み610club。構成メンバーは室戸高校生、OB、地域の皆さん、教員など様々。 この度、校名でもある「室戸」の地名から、語呂合わせで6月10日を「むろとの日」にしたら面白いのではないかとの発案から、室戸市長と610clubの懇談をへて、実際に6月10日に「むろとの日」イベントが開催された。
 こうして、生徒や地域それぞれの夢とともに活気づく町、室戸。室戸高校教諭の西本誠さんの夢は「室戸に美術館をつくり、"作品との出会いの場"にしたい。それが、生徒達の雇用の場や町の元気の一つになったりしたら最高です。」取り組みの最中も夢は次々と膨らんでいるようです。前回の生徒達の "「夢」の展示室 "に引き続き、今回はその後の610clubの活動と、「むろとの日」イベントの様子について取材した。

 
muroto-mono.jpg
space.gif ●町の現状 ~郷土愛を育みたい・つなぎたい想い~  

   前回までの概要と室戸の町

西本さんが室戸市に赴任し5年がたつ。土地の人々と触れ合いおいしい魚貝美しい室戸の海や空、雄大なジオパークに包まれるうち、室戸が好きになったという。
室戸市の人口は現在1万6611人(平成22年3月31日現在)。 
 
生徒の課題研究発表で、一年間に室戸市の人口が500人減っていると聴いて驚いたこと、昨年度の卒業生107名のうち室戸市内残ったのは10名に満たなかったこと。
「町の元気を創りたい。」その思いは地域も同じだったという。 地域の可能性を見出そう。 ふるさとへの愛を育みたい。 そんな思いから610clubの活動が生まれた。
 


●具体的な取り組みについて

・室戸市佐喜浜の「唐谷の滝」をclub員で見学
地域にある美しいものの存在を理解することや観光資源として見直す活動。地元のご老人にも同行いただき民話などを聞くこともできた。(平成21年12月)

・室戸地区天然資源回復協議会への参加
大学や建設業、漁業関係者、地元有識者らが集い、室戸の漁業振興や天然資源の見直し町の未来予想図の作成等それらに応じた事業展開を行った。

・室戸市吉良川のイベント「ひなまつり」に参加
吉良川の町並みは歴史的建造物の保存地区にも指定され、土佐漆喰の白壁に水切り瓦が特徴。その町並みの中で610clubの活動や室戸高校美術部に関する展示を行った。同時に自転車日本一周をしている青年を招いて共に夢を語らう計画などを実行(彼の夢は鍼灸マッサージを広め、体の丈夫な子どもたちを育てること)。開催期間中、地元の方々や観光客等、延べ250人とふれあう。(平成22年3月5日~7日)

・ブログで夢を共有、観光情報や町おこしのアイデアを公開
※詳細は前回の特集またはWEBサイトを参照

・市長をはじめ町の方々と懇談
元クジラ・マグロ漁師の方や八十八カ所の住職さんなどにもお話を伺う中で、室戸の文化や歴史を学ぶ。

・室戸市にある元保育所と協力して
「元保育所ペタペタ祭り」を開催
園の皆さん、地域の方々、室戸高校生みんなで協力して壁をカラフルにペイント。園の皆さんのマーチングや風船飛ばしも実施された。(平成22年3月)

・みやげものづくりの研究
バードコールを室戸市名産の備長炭の元ウバメガシで試作。


・6月10日「むろとの日」イベント開催
西本さんは実行委員会の副委員長として参加。ポスターデザインを東京でデザイナーとして活躍している卒業生(細木康平君・土佐龍馬であい博イメージキャラクターデザイン)が制作。イベント当日はジオパークについての上映・室戸高校出身のスーパーバンドのライブ。約370名の来場。


 そして、室戸美術館を町に創る夢・・・・・・進行中。 

●美術館創造に関する進捗状況や課題

目標は手作りの美術館。空き家を改装し作品を飾るなど、やれることから始めて子どもたちや町の人々に、
作品との出会いを創りたいという思いの元始まり、只今徐々に準備中だという。
 所蔵する作品は、西本さんの大学時代の恩師等に協力を得つつ、集めることができそうだという。
さらに民家の無償貸与を申し出る人も現れて、現在3件の物件の話が進行中で、これには生徒達も驚き、喜んでいる。

 これらをスタンプラリーのような形でつなぎ美術館としてスタートしようと考えたところ
会場が離れることで受付人員が複数必要になり、受付人員の確保等の問題と向きあう事になった。 
さらに、「美術館の維持や向上のため入館が料はいただきたい」と考えると、公務員である西本さんや生徒が金銭を扱ってよいかという課題にぶつかり、NPO参入をもくろんだものの頓挫し、現在は次の手を模索中だという。 
 



●今後に向けて 
 
 西本さんは、指導者の立場ではなく「610club」という立場で一緒になって活動を行っており、
 その中で得られる気づきや出会いは、教員としても一人の人間としても大きな財産となっていることを肌で感じ、
 生徒や町の人々に感謝しているという。生徒や学校の、そして室戸の町の可能性を今まで以上に感じることができ、
 「まずはこの活動を続けてゆくことを大事にしたい」と願っている。

 室戸高校では来年度より日本初の「ジオパーク学」という科目が開始される。ジオパーク学では岩礁など室戸の地質に関することに始まり、観光ガイド分野についても取り扱う予定で、おもてなしの心や、自分たちの町をデザインしてゆく力にもつなげたい!と期待されている。


 610clubの活動をきっかけにラジオ番組にも出演。 
「今通っている学校の地域について、子どもである今、理解したり学んだりすることが、将来、人の可能性や尊さについて考えたり、住んでいる土地を愛したりすることになるのではないか。」と番組のパーソナリティからのエールも送られた。
 「室戸の町の良さ・歴史を知り、未来に生かすこと。チャレンジすること。この610clubの活動が子どもたちの今の笑顔や、未来の笑顔につながれば幸いです。
「あこうの樹」のように人と人がつながって、大いに茂る未来であってほしいと願っています。」と西本さんは展望をしめくくった。 


muroto8-9-3.jpg




Clip to Evernote このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

side information
とさピク×Art in Kochi 割引
以下のとさピク主催の映画上映会場に、
Art in Kochiフリーペーパーをご持参頂くと、
前売価格でごらんになれます。
Art in Kochi管理運営:Plastik/o [プラスティコ]
 >> システム詳細


美術手帖